191006 ランダム
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ProjectMeltDown

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Ver.White ACT4

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瞳に映る惑星
Ver.White act-4



       喫茶店。開店前の準備時間。
       青木、香織、正樹がいる。


青木    そろそろ噂も聞いているとは思うけど、今度僕が結婚をすることになりました。

香織    あー、なんかあらたまってる。

正樹    まあ、聞けって。

青木    ん!ぐふん!相手はですね。あのう。小泉美穂さんと言うみなさんよく御存知のひとです。

正樹    ・・・。

香織    結局まとまっちゃったんだねえ。

青木    そうデすね。

香織    店長キャラクター変になってるよ。

青木    そうかな。

香織    あ、戻った。

青木    そこで、お店の体制がちょっぴり変わることになりました。

      私のうちを小物屋さんに改装するので、しばらくこっちの喫茶店を留守にすることが多くなります。

正樹    小物?ですか?

青木    うん。ぼくだけの夢ってわけでもないんだけどね。

香織    夫婦で夢持つのってなんか凄いや。にしても小物って例えば何を。

青木    くわしく話したいのはやまやまなんだけど説明に続きがあるから先に聞いて。

正樹    はい。

青木    お店に僕がいない間は美穂さんに全体をみてもらいます。

      結局、人手がすこし足りなくなるので、アルバイトさんをひとり雇いました。

      たぶん、この人もみんな一回はみたことあるひとだとおもいます。じゃあ、榎本さあん。


       喜代美、入ってくる。


喜代美   こんにちわ。榎本喜代美です。宜しくおねがいします。

香織    こないだのひとだ!

喜代美   よく憶えててくれたね。

香織    目立ちますから。

正樹    あれええ。

喜代美   よお、正樹。

青木    同じ大学なんだよね。顔見知りだって聞いてるんだけど。

正樹    一応。

喜代美   一応とは失礼しちゃうなあ。

青木    まあ、賑やかになったところで今日からお願いね。

      今日は常連客は来ないと思うから隠れメニューはパスしちゃって。

喜代美   かくれメニュー?

正樹    まだ知らなくていい。

香織    かくれメニューって名前怪しくない?

青木    どうしてもって人にだけ出すメニューもあるんだけど、僕でしか作れないんだよね。

      あー、あとわけわかんないお客さんきたら「お前に出すコーヒーはない」って言えばだいたい帰るから。

喜代美   やんわり帰してもいいんですか?

青木    それですむならベストだね。そうだ、接客は大丈夫なんだよね。

喜代美   はい!

青木    じゃあ、お店あけるよー。榎本さんは香織ちゃんと動いてー。


       なんかぱたぱた準備。


香織    あーなんか手際いー。喜代美さん前は何をやってたんですか。

喜代美   服をお勧めするバイト。ブティックとかにいるでしょ、何をお探しですかーて歩み寄ってくるオネエさん。

香織    すごく似合いますね。

正樹    ぬお。やっぱり俺だけなのか呼び捨てなのは。

喜代美   へえ正樹。俺って言えるんだ。

正樹    おまえうるさい。

香織    正樹生意気。

正樹    お前もうるさい。

香織    お前にお前言われたくない。

喜代美   「そういうお前こそお前言うな」だっけ。

正樹    ・・・。

喜代美   ワンパターンだなあ。

香織    正樹って最近反抗期なんだよ。

正樹    あのなあ。

喜代美   へっへー。女の子の会話に加わりたいかい。

正樹    なんだよその言い方。

喜代美   香織ちゃんのこといじめたら私が成敗するからね。

正樹    いじめられてんのは俺だ。

青木    いいかげんその立場にも、慣れたらどうよ。

正樹    お断りです。プライドとか傷つきません?

青木    あー、僕はむしろ喜びだね。

正樹    そんなあ。

香織    店長は香織様の身内になるんだよ。正樹は逃げ道なし。

正樹    意味わかんないよ。

青木    そうかあ、お兄さんなのかあ。かおーりちゃん。

香織    おにーさん。

正樹    何っだあ。その変な空気はあ。

喜代美   幸せいっぱいで面白そうじゃん。

青木    そうかあ。僕は幸せだったのかあ。

喜代美   ここじゃあ、店長さんにツッコミを入れるひとはいないわけ。

香織    普段はあんまりとぼけたこといわない人なんですよ。

喜代美   この浮かれた感じはかなり長引きそうねえ。

青木    みんなも幸せになれよお。

香織    じゃあ、この話題やめよっかあ。


       店長さみしそう。


正樹    こういう人構うのってむしろ礼儀?


       店長はにかむ。


正樹    じゃあ、もう一回やめる。


       店長脱力。


喜代美   奥様ってどんな方ですか?

青木    あのね。

香織    まだ結婚はしてないんですよ。

喜代美   その二人がどんな話してるのか知りたいなあ。

正樹    そうかなあ。

青木    いやはや。

喜代美   「ダーリン」「ハニー」って言ってるんですか?

青木    (にやにやする)

正樹    想像してるのかな。

青木    まあ、そんなとこ。

喜代美   婚約するころには落ち着くもんだろと私は思うんだけどね。

青木    つきあう前にプロポーズになっちゃったから。

喜代美   勇者ですね。

正樹    は?勇者?

喜代美   いろいろ大事なとこすっとばして「ゴオオオオッル」みたいな。英雄の基本だよね。

香織    そうかあ、そういうのを勇者って言うんだあ。

正樹    変なこと教えるなよ。

喜代美   こういうのが重要なんだよ。たのしげな出来ごとは新しい言葉でくくんなきゃ。

正樹    それはわかるんだけどねえ。

香織    わかるなら文句言わない。

正樹    あー、何かと悔しい。

香織    正樹、手が動いてないー。

正樹    やってるってば。

喜代美   香織ちゃん。負けるな。

正樹    喜代美、溶け込むの早すぎでしょ。

喜代美   いやあ、居心地がいいねえ。いくらでもいられそう。

青木    ありがたいね。みんな悪いけど、僕ちょっとでかけてくるね。

正樹    はい、いつもどおりでういいですよね。

青木    正樹君、任せたよ。いつもどおりでわかんなきゃ電話してちょうだい。

      しばらくしたら美穂さんくるし心配ないと思うけどね。

香織    お姉ちゃん来るんだあ。

喜代美   期待の新人榎本はなにをしたらいいでしょうか?

青木    いやあ、別に。

喜代美   ちなみに「君は笑ってるだけでいいよ」とかいうオチはなしですよ。

正樹    言わないよ普通。

喜代美   私はよく聞くけどな。

青木    まずは一日の流れを憶えて、次に細かいこと憶えてね。

      マニュアルがないこともないんだけど、分かりにくいってよく言われるんだよね。

正樹    わかりにくいっていうか、恥ずかしいんですよ。

青木    そういうもんかなあ。

正樹    ところどころ詩とか入ってて、独特な雰囲気あるじゃないですか?

青木    あれえ?(ちょっと裏へ)そんなの載っけてないぞお。

正樹    え?俺が読んだのとの違いますよ。業務内容は同じみたいですけれど。

青木    じゃあ、正樹君が読んだのはなんなんだ。

香織    私のとたぶん同じじゃないですかあ?えーっと(カウンターの裏へ)これこれ。

正樹    そうだよそれ。

青木    え?なに?これ?

正樹    見たことないんですか?

青木    どうかなあ。

正樹    こんなに忘れられないマニュアル珍しいですよ。

香織    私のおすすめはえっとねえ、このへんです。

喜代美   え?恋人達の休日編?なになに・・・うわ。口にだせない。

香織    笑えるよねえ。

正樹    ここになんで花が書いてあるのかいつも気になるんだよね。

青木    ちゃんと読ませて。・・・興味深いなあ。

      しっかし、いつのまにマニュアルが変わっちゃったんだろう。

      最近新人さんは美穂さんに任せっ放しだったしなあ。

      っってそんなこといってる場合じゃなかった。とりあえずいってくるわ。あ。これよろしく。

正樹    エプロン裏においておきますよ。

青木    うん。よろしく。じゃ、いってくるねえ。

店員    いってらっしゃあい。


       店長、はける。


香織    あとほらここー。

喜代美   みんなの団結編?

      「お店はみんなでつくろう 仲間だ がんばろう オー わたしもがんばる タニシみたいに」?

      ・・・タニシと団結ぅ?

正樹    なんど聞いてもおかしいよね。

香織    私はさらにここが面白いと思う。

正樹    おれはあんまし?

喜代美   えっと。隠れめにゅ編。

      「大丈夫だよ 落ち着いて たまにはめにゅになくても つくらないといけない

       そんなめにゅもあるのさ ほら てんちょうさんにたのんでごらん 紅茶だってある

       発泡酒だってある グラタンもある ドリアもあるといいなあ あと ぬいぐるみも」

      ・・・ごめん。私の精神ッ力にも向き不向きがあるみたいね。

正樹    大丈夫?

喜代美   ああ、なんか微妙。

香織    慣れるまでは脳みそがぱさぱさになる感じがしますよ。

正樹    しごには慣れたけどこのマニュアルには慣れたりしないなあ。

香織    わたしなんだかすぐなれたよ。

正樹    香織ちゃんだけでしょ。そんなの。

香織    そうかなあ、お姉ちゃん平気そうだったよ。

正樹    美穂さんの感想も聞きたいよね。

香織    確かにお姉ちゃんの感想聞いてみたい。

喜代美   とりあえずその話はもう勘弁。ちゃんとした方のマニュアル読んでみる。

正樹    これ?

喜代美   そうそう。・・・渋っ。字が多すぎ。・・・ん?図1を参照・・・って図1はないの?

正樹    そうなの?・・・あ。ない。

香織    あれ?


       ぴょっこり美穂が入ってくる。


美穂    こんにちわー。

他の人   こんにちわー。

美穂    あ、新人さん。はじめまして、小泉美穂です。

喜代美   はじめまして?榎本喜代美です。

美穂    お客さんでたまに来てる子だよね。

喜代美   そうですね。

美穂    かわいいよねえ。美人よねえ。仲良くしましょう!

喜代美   はい。

正樹    あのさ。

香織    どしたの?

正樹    テンション高いよね。

香織    どっちかっていうと高い。

美穂    高いってなにが?

正樹    あったかいっていったんです。

美穂    うん。今日はあったかいよね。

喜代美   早速なんですが、私は何をすればよろしいのでしょうか?

美穂    えっと、マニュアルに沿って話すのが早いかな。

喜代美   はい。これでいいですか?

美穂    これ絵がないほうだね。わかりにくいでしょ。

喜代美   ええ、なんとなく。

美穂    でね。絵が足してあるのがあるの、ちょっと待ってね。

      (やっぱりカウンター裏)これこれ。こっちで説明するね。(で、渡す)

      はい、榎本さん。あ、喜代美ちゃんて呼んだほうがいいかな。なくすといけないからサインとかしといてね。

喜代美   ええと、これは絵だけではない感じですね。

美穂    文もちょっと砕いてあるの。前のが堅いからソフト路線で。

喜代美   ソフト路線。

香織    そうソフト路線。やさしく、ていねいに。お仕事もそう。やさしくていねいに。

喜代美   やさしくていねいに。

香織    ねえ、お姉ちゃん。どうしてマニュアル2種類あるの?

正樹    こっちが店長のというか、お店の公式なマニュアルですよね。僕なんかが使ってるのは一体。

美穂    あー。わかりにくいから私が直したの。

正樹    ・・・え?

美穂    私が作ったの。見やすいでしょう。

正樹    わかりやすいです。

喜代美   早く慣れたいですね。

美穂    榎本さんてかんじのいい子ね。

喜代美   どうもー。

美穂    テキパキしてそうだし、なんだか嬉しいな。

正樹    とても気に入られてるね。

喜代美   とてもいいお姉さんね。

香織    うっす!賢くて助かりマース。

美穂    なに。なんかわざとらしい。

香織    お姉ちゃんにはいつも感謝してるんだよ。

喜代美   ともあれ、御婚約おめでとうございます。

香織    そうだ、おめでとう!

正樹    え。あ。

喜代美   せーの。

香&喜代美 おめでとうございます!

美穂    きゃー、なんか、嬉しいやら恥ずかしいやらで、なんだかなあ。・・・ありがとう。

正樹    おめでとおございます。

美穂    正樹君サンキュー。よおし、もりもりはたらくぞお。

      榎本さん、まずは「恋人達の休日編」からよ!

喜代美   え。それは。

香織    いらっしゃいませー。

全員    いらっしゃいませー。

喜代美   ・・・ふう。

和馬    モーニン!喜代美!

喜代美   あら、いらっしゃいませ。

和馬    あれ?なんでエプロンしてんの?

喜代美   新人の榎本喜代美です。

和馬    そういやバイト変えるっていってたね。喜代美ってバイト面接落ちたことないんじゃない?

喜代美   当たり前よ。・・・それより、仕事中だから雑談は控えめにするね。

和馬    そう?じゃ、コーヒーいつもの。

喜代美   いつもといえるほど来てないでしょうが。

正樹    大丈夫だよ。ブラジルコーヒーでしょ。

和馬    イエッス!いいねえブラザー!

喜代美   誰がブラザーなの。

和馬    いい人はみんなブラザー。・・・あ。香織ちゃん元気?

香織    うん。普通。

喜代美   あれ?知り合い?

香織    たまにヒトリで来るんです。だから、フレンドリイ?

和馬    何いってんの?僕は香織ちゃんに会いに通ってるんだよ。

喜代美   いたいけな少女に毒牙をかけるな。

美穂    みんな仲よさそう。

正樹    世の中狭いもんですね。

美穂    香織。お話ししてていいよ。喜代美ちゃんはこっちで続きだよお。

香織    え、何それ?

和馬    僕らの愛の時間サア。

喜代美   噛まれないでね。

香織    えええ~。


       テーブルに近付く香織。カウンターに向かう喜代美。
       香織は正樹に、喜代美は和馬に気を残しながら移動。
       喜代美は美穂にマニュアルを読まされている。しばらくマイム。


香織    和馬、ブラジルコーヒーの何がいいの?

和馬    味。

香織    だから、どんな味が?

和馬    ブラジルっぽいところ。

香織    わたしはどうも、これがブラジルな味だとは思えないんだよねえ。

和馬    俺の頭んなかだとドゥダダダダ(裏ノリだったりして)って太鼓みたいなのが聞こえるよン。

香織    何でコーヒー飲んで音楽が聞こえるの?

和馬    天才だから。

香織    天才~?

和馬    つうかむしろ愛の力?

香織    だーめ。彼女なんじゃないの?喜代美さんて。

和馬    (こっそり)微妙。

香織    いけないんだああ。

和馬    いけないから楽しい。


       注目はカウンターへ移行。


美穂    こういうお店は雰囲気を楽しむという面が重要になるから、雰囲気づくり頑張りましょうという意味ヨ。

喜代美   はい。雰囲気ですね。

正樹    基本的なとこで、清潔感と整った感じ。あとは飾り付けだけど、そのへんわかるよね。

美穂    喜代美ちゃんセンスよさそうだもんね。

喜代美   勉強してますよお。

正樹    経済学部ってそういうこと勉強するの?

喜代美   むしろ独学よ。

正樹    将来何になるの?

喜代美   とびきりのいい女。

美穂    志し高いなあ。正樹君にいまいち足らない要素ね。

正樹    ひどいなあ。僕にだって夢とかありますよお。

美穂    何するの?

正樹    安定職につきたいです。

喜代美   それは夢かなあ。なんて無難な。

美穂    もっと思い切ったこと言っちゃいなさいよ。

喜代美   正樹って無謀性にかけるねえ。

正樹    無謀性?

喜代美   余計なことしようとする力。

正樹    いらないじゃん。

喜代美   そのへんなんだよなあ。余計なことするかしないかの紙一重の違いなんだよね。

正樹    何が?

喜代美   スゲエかスゲくないか。

美穂    喜代美ちゃん頭いい。

喜代美   ウッス。

美穂    喜代美ちゃん何座?

喜代美   わたしは◯◯座。2月24日生まれ。

美穂    そうなんだ。水のひとなんだね。

喜代美   正樹憶えた?私の誕生日。

正樹    何で。

喜代美   ちゃんと頂戴よプレゼント。

正樹    なんでだよお。まだ先じゃん。

美穂    わたしもなんか欲しい。

       再び注目がテーブルへ

和馬    俺が思うにさ。あとビットで世界がとれるんだよ。

香織    ビット?

和馬    ちょっとって意味?かな。デネ、まじ気合いの問題じゃン。

      そこいらへん、香織ちゃんに激励されたいのよ。

香織    私はただのお茶汲みだからねえ。

和馬    可愛いヨ。

香織    和馬はそればっかりだねえ。

和馬    そうだ。香織ちゃんの誕生日っていつ?

香織    えー。なんかくれるのお。

和馬    愛。

香織    ・・・なんか。ちょっと先読みできた。

和馬    頭いー。

香織    いくないよお。和馬かなり変わった人だよね。

和馬    ちょっとどころじゃなねえええ。

香織    はは、変なの。・・・あ、てんちょう。

正樹    お?


       青木、鞄かなにか持って登場。


青木    いらっしゃいませ。

和馬    ういーす。

喜代美   居酒屋じゃないんだから。

青木    ただいま。

美穂    おかえりなさい。

全員    おかえりなさあい。

青木    え?(奥にいきながら)なんかみんなにやにやしてない?

美穂    さっきね。おめでとうっていわれたよお。(つられて奥へ行く)

正樹    お帰りなさいです。じゃあ、喜代美これよろしく。

香織    わたしやるよ。

正樹    なれてもらわないと。

香織    そだねえ。

和馬    香織ちゃん。ラクにイコー。

喜代美   御盆で持つの?うわ、大変。

正樹    あ、大丈夫?

喜代美   うん、平気。まん中もてば大丈夫そう。

      はーい、和馬様コーヒーですっよお。

和馬    ん!チェキ!

喜代美   置くまで待ってねえ。はい、きれいにおけたア。

和馬    せんキュー。

正樹    へえ、やったことあるの?

喜代美   はじめてだよ。

正樹    凄いねえ。

香織    私も初めてでできたよ。

正樹    そうなんだ。

和馬    香織ちゃんスゴーイ。

香織    えへ。

青木    (もへっと出てきて)なんだ?この状況。

美穂    どしたの?

青木    なんか真っ四角じゃない?こうでこうでこう。でこう。

美穂    ・・・あ。

       曲、香織に焦点。他の人が徐々に掃けていく。

香織    ねえ。正樹、喜代美さんのこと見てるの?

      そういうのなんかヤ。わたしたぶん変になる。喜代美さんんて和馬の彼女だよ。

      私の心。落ち着いて。落ち着いて落ち着いて。


       まわりがはけるのに続き、エプロンを置いて、奥舞台へ。
       香織の部屋な感じ。座る感じ。


香織    正樹。喜代美さんのこと見てたね。あーあ。やばいなあ。

      正樹の瞳には喜代美さんが映ってる。喜代美さんの瞳には和馬。和馬はなんでも見てる。

      ・・・わたしね。私のね瞳には正樹が映ってるよ。なんでだろう、寒い季節だからかなあ。

      なんかツライや。なんとかなりそうなのにどうにもなんないや。


       曲の雰囲気ですこし待つ。


香織    落ち着け私。頑張れ私。・・・お姉ちゃんだってうまくいったじゃない?

      誰だって最後はうまくいくよ。最後っていつだろう。あーあ、もやもやする。


       もったいぶったのち、ノックが聞こえる。


香織    はい?え?誰?お姉ちゃん?

青木    「お兄さん」

香織    え?どうぞ。

青木    (はいりながら)こんばんわおじゃまします。

香織    どうしたんですか?おねえちゃんに会いに来たの。

青木    それもあるけど、お家のひととね。

香織    そう。

青木    邪魔しちゃった?

香織    んー?

青木    何泣きそうな顏してるの?

香織    そんなことないですよ。

青木    香織ちゃんは正樹君がほしい?

香織    え!?

青木    話をしようか。

香織    うん。(半べそ)

青木    幸せのおすそわけ。よく話をきくんだよ。

香織    うん!


       ゆっくり消えていく照明。音響が変わる。
       (上演時、この「香織の部屋に店長が現れ」というシーンは出演者たちに不評だったためカットし、次の場の美穂と香織の会話に委譲されました。)

Ver.White 第5場へ続く

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